リチウムイオン電池の放電曲線とお知らせ機能
今日は最近作ったバッテリー式のセンサーについて書いていきます。
左が警報器、右が10m検知可能なセンサーです。それぞれ12Vのリチウムイオン電池を背負って内蔵の無線基板から信号を送受するため、配線が一切必要ありません。特殊車両の安全用の後方検知(人体検知)として使われることが多いです。
実験レベルでは作っていたのですが、「バッテリー式あるって言ってたよね、宜しく!」ということで、昨年末あるお客様から注文を頂きまして実際の現場に投入されるカタチに仕上げざるを得なくなりました。
バッテリーが増える分、筐体設計や組み立ての難しさはあったものの得意の3Dプリントと板金を組み合わせて上手くまとめ上げられたかと思っています。
バッテリー×無線となったときに必須の機能がバッテリーの残量が低下したときのお知らせ機能であります。当初、残量低下時のしきい値をセンサーが正常に機能しなくなる電圧値として決めておりました。こちらのセンサーの場合、だいたい9Vくらいで正常に機能しなくなるので、その値より少し上で設定しておりました。
ほぼほぼ製造が完了し、出荷前日に「どれどれバッテリーの低下お知らせ機能がキチンと動作するかしら」ということで実験をしたところお知らせが来る前にセンサーが撃沈してしまいました。何かがおかしい。。。
いろいろ調べている中でリチウムイオン電池の放電曲線というグラフを見つけました。
ある電圧まではゆっくり下がっていってそこからストーンと一気に電圧が下がるようです。確かに経験上、使用している12Vバッテリーの電圧が9Vやら8Vやらになっている状態を見たことがなかったです。11V、10.8V、そのあとは5V、4Vなどとなっている状態は見たことがあります。詳しくバッテリーの電圧を調べてみると10.5V以下になるとストーンと電圧が下がることが分かりました。上のグラフはセル1個分なのでおそらく12Vバッテリーはこのセルが4個分となるはずなので10V付近で落ちることは、このグラフと照らし合わせても納得がいきます。つまり9Vでしきい値を設定してしまうと、電圧低下のお知らせ信号を飛ばす前に電圧が5Vくらいまで下がってしまい、5Vまで下がってしまうと、もはやお知らせ信号を出す元気もないまま撃沈してしまいます。
電池残量警報が出てからある時間は正常動作する必要があるので、今回はしきい値電圧を10.7V程度にしてみました。ぴったりのチップ抵抗がなかったのでディスクリート抵抗を組み合わせて帳尻を合わせました。
何かが起こる出荷前日。次回はもう少し余裕をもって実証実験をしようと思います。