備品が故障する時期
先週、先々週と立て続けにプリンターとパソコンが故障してしまいました。
プリンターは光沢紙でカラー印刷を十数枚した後に青色が出なくなってしまい、パソコンの方は電源が入らずスイッチを入れても10秒くらいでダウンしてしまう状況でした。
幸いどちらも修理に出して無事もどってきました。プリンターは購入後1年未満だったこともあり、まずは電話で内容を伝えたら「修理は可能ですが**の書類を提示してください」とのこと。領収書やら保証書やらその類のものです。取説も含めすでに捨ててしまった可能性もあったため面倒だなと思いました。使用者の過失で壊されたり製造後数十年経過しているものは例外かと思いますが、メーカーであるのであれば自らが作った製品は紙切れなどなくても修理を受けつけるべきだと思います。お客さんがその製品を持っているという事実がそのメーカーを信頼して買ったという証拠であるし、そのお客さんが困っているのだから素直に対応するべきだと考えてしまうのは、自分が作り手側の人間だからかもしれません。アウトドアブランドのスノーピークなどは永久保証を謳っており、独自の路線を進んでいますが私も考え方は基本的に同意します。
大手企業にとっては製品単価が上がらないとなかなかこのような対応は難しくなるのかもしれませんが、社員全員に作り手側の気持ちがあればできることだと思います。
結局、プリンターは故障した部品の在庫がないそうで丸々新品が送り返されてきました。新品だー!と初めは喜んでいましたが、セットアップやら無線LANとの接続やらに時間がかかってしまったのでなんとも言えません。
パソコンの方はバッテリー交換せず直して頂き、送料込みで9800円だったので納得感がありました。修理も1日で対応いただきありがたかったです。
メインのパソコンとプリンターがない状況でしたが、ほとんど問題なく仕事ができました。むしろ無駄にパソコンを見る時間が減り仕事に集中できたともいえます。また、サブのパソコンで3Dプリンタ用のソフトを最新版にしたら印刷時間が数10%短縮できることがわかり大変よい発見となりました。ハードウェアは同じなのにソフトを変えるとハードの機能が進化するというのはなんとも今風です。将来はセンサーもそのように遠隔で機能がアップデートできたりしたら何とも面白い。
KiCad ピン間の衝突問題
こんにちは。
今日は面白そうなICがあったので久しぶりにKiCadで試作基板を作ってみました。
そのときにつまづいたポイントをメモ程度に残しておきます。
流れとしては下記の通りです。
1. Mouserで部品データをCADに登録
2. 登録した部品と周辺部品を配置し基板設計
3. 基板製作屋さんに発注
1.の登録作業はこちらのガイドに忠実に従い上手いことできました。
2.の段階で一通り部品配置が完了し、ルールチェックを行ったところ多数のエラーが出てしまいました。ほとんどが「ピン間の衝突問題」というキーワードではじかれており原因を探りました。この文言で検索してもいまいち良い回答がヒットしなかったのですが、エラーの内容をよくよく読んでみると不特定のピンに接続されているとの記載があり、こちらの文言で検索したらよい回答が得られました。
どうやら1.でのIC登録時にすべてのピン設定が「不特定」という形で登録されていたようで、後から変更しなくてはいけなかったようです。上記のガイドに忠実に従って設定を変更したところ上手いことエラーが解消されました。ありがたや、日本のKiCadコミュニティ。。。
エラーが解消されたのであとはガーバデータに出力して基板屋さんに投げます。
10枚で5ドル、送料込みで15ドルは安いなあ。
1週間程度で到着するので、基板が来たら早速はんだ付けしてみます。
プラグ/レセプタクルのオス/メス使い分け
今日はコネクタ類の使い方について、最近学んだ基本的なことについて書いていきます。
弊社のように障害物センサーを作っていると警報用の回転灯とセットで製作を依頼されることがあります。センサーが車両や人を検知すると警報機が発動するというよくある使い方です。
例として下記のような組み合わせがあるとします。
DC電源から電気が供給され制御BOXを経由してセンサーが駆動されます。センサーが何かを検知すると検知信号が制御BOXを通じて回転灯をONさせるような仕組みです。
ここでよく使われるのが制御BOXと電源ケーブルおよびセンサーケーブルを接続するためのレセプタクルとプラグという部品です。制御BOXと各ケーブルをガッチリと接続するための部品です。屋外で使う場合が多いため、弊社では防水タイプを使うことが多いです。
上記のようにそれぞれオスタイプとメスタイプがありますが、どのように使い分けたらよいのでしょうか?
接続するときの安全を考慮してルールがあります。(ということを最近知った。。。)
オスタイプは芯が突き出ている、つまり電極が露出しているので触ろうと思えばドライバーや何かで触ることができるわけです。もしもその時に電源が入っていたら電極をショートさせてしまったり、場合によっては感電してしまうことになります。
もしもメスタイプであれば電源が入っていたとしても電極に触れることが難しいため、そのような事故は発生しません。よって電源側にはメスタイプ、電気を受け取る側はオスタイプにするというのが基本的な決まりとなります。
そう考えると、冒頭の図にあるレセプタクル/プラグのオス/メスをどう決めればよいかわかってきます。
石膏3Dプリント向け色付きデータの作製
今日はちょっと特殊な3Dプリント部品のデータの作り方を書いていきます。
材料として使うのは石膏です。よく色付きフィギュアなどで使われる材料ですが
今回石膏を使う理由は高温部分に使われるためです。ABSだと変形してくる100℃以上
の環境で使う部品を印刷します。
石膏印刷の場合、色データをつけると色付きで印刷できます。
今回は黒色にしたかったので作製した3Dデータに色を付ける方法を説明していきます。
ちなみに色指定なしで印刷するとオフホワイトのような色で印刷されます。
1. blenderのダウンロード
色データを付けるため、blenderというソフトをダウンロードします。
ソフトを開いたら、作製した3Dデータをインポートします。
どどん!インポートされました。つづいて右側ウインドウのmaterialというタブを
クリックします。+ new のボタン(Add a new material) を押すと右下のような
球が描かれたウインドウなどが現れます。
つづいて、右下ウインドウのDiffuseと書いてある文字の下の白い四角エリアをクリックします。
すると、虹色の円と白→黒の棒が表示されます。
今回は黒色にしたいので右側の白黒コントラストの部分を一番下の真っ黒まで引っ張ります。
データの色が真っ黒になりました。この状態にしたら今度はエクスポートします。
obj.という拡張子で保存します。
保存をするとobjというメインの3Dデータファイルとmtlファイルという色データの2つ
が保存されます。これらを一つのフォルダに入れてzipします。
データが完成したので3D印刷サービスに入稿します。
最近ではshapawaysなど海外の印刷サービスも増えてきましたが、石膏印刷に関しては国内のDMM.makeが一番だと思います。短納期で対応してくれることと、石膏の表面がきれいです。値段もリーズナブルです。
3Dデータの板厚が2mm以上ないとシステム的にはじかれますが、担当者と交渉して
「破損しても問題ないです」と言えば印刷してくれます。上記のデータにも2mm以下の部分はありますが、メインの板厚が2mmですので強度的には問題ないです。
今回のデータ作製を行った経緯を振り返りますと
①石膏プリントしたい
②色を付けたいが自分で塗装するのがめんどくさい
③データに色をつけて印刷してもらおう
という流れです。色なし(オフホワイト色)でも値段が変わらないので、興味のある
方はトライしてみてください。
スピントロ二クスが世界を変える!?
今日は東北大学のOB会が主催している講演会に行ってきました。
お題目はズバリ「スピントロニクスが世界を変える」です。大学時代に磁性材料の研究室に所属していたこともあり、興味があったので顔を出してみました。
講師は東北大学総長の大野英男さん。この分野では有名な方で、将来のノーベル賞候補ともいわれているそうです。
話の内容としてはスピントロニクスとはどのようなものか、なぜ今注目されているのか、技術的な課題とブレークスルーについて、将来の展望などについてでした。
大まかにまとめると、現在の半導体の集積回路で使用されている揮発性メモリ(電源を切ると記録がなくなるメモリ)をスピントロニクスの技術を用い、磁性を持たせたメモリにすることで不揮発性となり、電源を切ってもメモリの記録が失われなくなるということです。これにより必要のない時間帯はメモリの電源を切ってもよくなるので大幅な省エネルギーとなるそうです。
現在の超情報化社会、SNS社会、YOUTUBE社会を今の技術だけで支えようとすると電力的に過大な負荷がかかるようです。データセンターなどで使われる電力が半端ないそうです。数十年後は全世界の20%程度の電力が情報通信の分野だけで消費されてしまうという試算もあるようです。
将来の情報通信の基盤を支えうる技術だと思いますので、国をあげて支援をしていく必要があると思いました。技術的に量産が可能になったときに、日本としてはどういう立ち位置をとるのかも非常に興味深いです。かつての栄光の半導体全盛時代のように工場をつくって自社で量産するところまでやるのか、量産する方法・システムを切り売りしていくのか、GAFAなどの情報支配層と連携していくのか。。。
地味ではありますがこういったハード、材料系のしっかりとした技術を積み重ねてきたことは日本にとって大きな強みだと思いますので、産業的に発展してしっかりと利益をとれる体制にもっていってほしいと思います。
我々メーカーと違い世界を変えることを目標に実用化できるかどうかもわからない中、超長期スパンで研究や試作に取り組むかれら研究者のモチベーションは一体何なのだろうと思うことがあります。それが理解できなかったので私は大学院に行かなかったのですが。。。そんな疑問にちょっと答えてくれる大野さんのインタビューがありましたのでご興味あるかたはぜひ。
ひさびさに味わうアカデミックな雰囲気も良いものですな~
全ネジの切断と後処理について
アルミの全ネジがない!?
製品を軽くするため使用している部品の材料を変えることがあります。今回は80mmのステンレス製の全ネジをアルミ製にできないかと検討しました。あれこれ探してみましたがどうも長さ指定のアルミ全ネジが無いようでした。
唯一1000mmのアルミ全ネジがここから入手できそうだったので早速注文してみます。
切断
部品が届いたので切断してみます。強力なニッパーで思い切りよく切ります。
切れました。このままだとバリが残っていてナットが入らないので後処理をしていきます。
まずはグラインダーで少し先端を削ります。
さらに先端部のネジ山の入り口がきれいになるようにやすりをかけます。
先端がきれいに仕上がりました。きれいにナットが入ってくれます。