丸太小屋日記 ~オーミック電子の開発室から~

超音波センサーメーカー、オーミック電子の公式ブログです。

2023年振り返り

さて、早くも2023年が終わろうとしています。弊社は昨日が最終日でした。大掃除をして玄関には恒例の正月飾りを取り付けて締めくくりました。

今年の振り返りを行う前に今年をどういう年にしたいかを昨年の記事から再確認してみると、①広報活動に力を入れる(ポータルサイトに載せる)、②特殊車両の免許を取得し現場に通う、③CSPIに参加し製品を広くアピール、④引き続き新製品を開発するという目標を掲げていました。以下、それぞれのテーマについて振り返ってみたいと思います。

2022年振り返り - 丸太小屋日記 ~オーミック電子の開発室から~

高所作業車の免許取得

2月に早速、高所作業車の免許を取得するために近くの教習所に通いました。一緒に学んだ建築関係の方々からも現場の興味深いお話を聞くことができ、充実した2日間でした。

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実際に高所作業車を動かして何か仕事をするために免許を取ったわけではなく、高所作業車用のセンサの検証をするときに必要となる可能性があったので取ったものでしたが、6月に実際に検証する機会が訪れたので免許を取っておいて良かったです。

 

CSPIの成功と反省

初めての単独での出展ということで5月にCSPIに参加しました。最小スペースでの展示でしたが、アトラクションや目立つための仕組みなども考えながら何をどこに配置するかを考え準備を進めました。開催直前に展示会向けの新製品を作ることになり大変ではありましたが、建設関係の新しいお客さんの開拓や昔からのお客さんとの再会的な同窓会的側面もあり普段直接感じられない弊社の存在価値についての認識を新たにすることができました。

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反省点としてはブースに華やかさが足りず、来訪者の招き入れが物足りなかった点です。来年は女性の説明員を置いてより盛り上げていけたらと思います。また、展示会後に参加したメンバーが体調を崩してしまい弊社ブースに来て頂いたお客さんのフォローが十分にできなかったことも反省点のひとつです。来年も参加することになりましたので今年の経験を活かし、よりよい展示を目指します。

広報活動について

今年の1月からメトリーという製造業ポータルサイトに有料で弊社ページを乗せて頂いています。メトリー経由でカタログをダウンロードを頂いたりご連絡頂くことも多く、それなりに効果を感じています。

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試作品から量産品への移行

今年のハイライトは何かといえば、展示会で新製品として出した高所作業車向けセンサOM-GC/FVを量産に移行できたことです。技術的な側面でいうと自社製マイコンが使えるようになってきたことと、屋外でも使える超音波素子を入手でき比較的値段を抑えた形で製品を生産できる見込みが立ったことが要因として挙げられます。

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営業的側面でいうとCSPIの効果はあったものの、量産となる注文を頂いたのは実はCSPIには直接来られなかったお客さんでした。展示会前に弊社社長があらゆる方法で(メール、FAX、問い合わせフォーム)建設関係の会社にコンタクトしその中の大手建機レンタル会社の幹部の方が大変興味を持って下さり、注文に繋がりました。どのように製品を知ってもらうかということで上記のポータルサイトも活用しましたが最後は直接こちらから働きかける「念力」のようなパワーと、それをした上での「運」が関わってくるのだと感じました。取引が決まりレンタル会社さんのホームページに弊社センサが掲載されたとたんに他のレンタル会社や建設関係の会社さんから製品に関する問い合わせが一気に増えました。

www.taiyokenki.co.jp

建設業界において認知を広めるためには広く浅く広報するポータルサイトではなく、業界の人が必ずチェックする有名な会社のホームページに載ることがより重要であると認識しました。一般の広報ルートでは効果がなく閉じたルートがあるようで広報活動も一筋縄では行かないと感じました。

量産が決定すると製造方法の改革に迫られます。当然、今までの3Dプリンタを用いた筐体の製造では追い付かないので金型製作を検討します。昨年まで利用していたプロトラブズ社が破産してしまったため新たな金型屋さんを探していたところ、偶然こちらの記事を見つけ葛飾区のミヨシさんに連絡をすることにしました。

note.com

見積もりを頂きこちらの想定していた金額以内におさまっていたこと、打ち合わせ時に細かい仕様に関する説明が丁寧で一緒にやっていける感覚があったので依頼させて頂きました。短納期での注文となりましたが快く引き受けて下さり、高品質の筐体が出来上がりました。金型用の3Dモデルを作製する過程はこちらの記事を参照ください。

3Dプリンタから金型製作への道のり - 丸太小屋日記 ~オーミック電子の開発室から~

下の写真は実際にミヨシさんを訪問したときに見せて頂いたセンサ先端に取り付けるホーンの金型です。

ピッカピカの金型

筐体への塗装についてもコンプレッサーを導入するなど新しい方法を取り入れていきました。

基板の実装についてもより早く製作するためにホットプレート方式に切り替えました。

12月の初旬に金型が完成しそれから諸々の生産体制を整えていき、ようやく月産数百台作れる体制になってきました。いろいろと整えていくうちに部屋全体を整理していきたくなり最終日には工具用の壁掛け収納板を作りました。

来年はさらに量産体制が整うので、品質を上げながら生産数量を伸ばして行ければと思います。

2024年に向けて

来年については①まずは量産品をきっちりと作り上げること、②5月のCSPIに向けて新製品を作ること、③今年作った新製品(電線を検知できるセンサ等)の拡販、④今年以前に作った製品で拡販が十分にできていない製品(ヘルメット取り付け振動機をはじめとする警報機類)の拡販および量産、⑤なるべく現場に通いながら実際の要望を聴き製品作りに反映させることをしていきたいです。今年は大きな出張は札幌での現場検証くらいでしたので来年はもっと積極的に出向いていきたいです。

特に九州エリアや千歳方面で工場の建設ラッシュが続いていますのでこのあたりにしっかりと入り込んで行けたらと思います。また、時間を見つけて海外にも行けるようにしたいと思います。

自動運転と凧あげオバサン - 丸太小屋日記 ~オーミック電子の開発室から~

今年もブログを読んで下さりありがとうございました。良い一年をお迎えください。

 

シリコンパーツ作製術 ~3Dプリント型への挑戦~

今回の記事は日大生のT君による寄稿です。防水用のシリコンパーツを作る方法について挑戦して頂きました。↓↓

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日本大学のTです。ロッカースイッチの防水対策に使用されるシリコンパーツの製造に関する記事を担当します。下の画像が今回製造するシリコンパーツで、製品における使用例としてロッカースイッチの防水に利用されています。

製作するシリコンパーツ

製品での使用例

この部品を作るために従来の方法では、3Dプリンターで作製した使い捨ての型を使用し、シリコンが固まった後に型を壊して取り出していました。しかしこの方法だと、型を再利用できないだけでなく、取り出し時にシリコンパーツを傷つけてしまうこともあるため、製造方法の改良が必要でした。

従来の型

破壊して取り出す

そこで今回試みたのが、3Dプリンターでの金型作製になります。(厳密にいえば金属で作った型ではないので金型成形風というのが正解かもしれません。)これは、外枠が分解できるようになっているため、シリコンパーツを取り出す際に型を壊す必要がありません。

作製した型

ここからは具体的な制作手順を紹介します。まず金型を組み立てます。各パーツにはインサートナットが打ち込まれており、ねじ止めできるようにしてあります。また、各パーツには離型剤を塗ってあります。

組み立てた型

続いてシリコンを作ります。使用したのはHTV-4000というシリコンです。A材B材をよく混ぜて型に流し込むだけという簡単なものでが、混合後にそのまま型に流し込むと気泡が入ってしまいます。そこで、今回は真空ポンプで気泡を抜きました。

気泡が入っている状態    真空ポンプ    気泡を抜いた状態

真空状態にして5分待った後、型に流し込み、万力で圧力をかけて8時間待ちます。

型に流し込み圧をかける

硬化後に型を分解することで、型を壊すことなくシリコン部品をきれいに取り出すことができました。

3Dプリンターでの金型設計は自由度が高く、再利用性と効率の点で大きな利点があるので、今後ほかの製品の防水にも活用していきたいです。

3Dプリンタから金型製作への道のり

新しい製品を試作するとき、内部の電子基板や部品を除いた外装部分については3Dプリンタで作られることが多くなっていると思います。ケースやカバー、総じて筐体(きょうたい)と呼ばれる部分です。板金を使って筐体を作る場合やタカチなどの汎用プラスチック箱を用いる場合もあるかと思いますが、箱のサイズに制約があったり可能な限り小さくカスタマイズして作りたい場合はやはり3Dプリンタを使って独自にデザインした筐体を作りたいものです。

 

我々も日々3Dプリンタを使って試作品の筐体を作っています。年間の生産数量が数百台以下の製品については3Dプリンタで筐体および内部の機構部品を作っています。小さい部品ですと数時間以内、大きい部品でも半日もあれば作れてしまうので大変便利な3Dプリンタですがそれなりに時間はかかってしまうので、3Dプリンタだけで生産が成立している製品というのはビジネスとして上手くいっていない可能性が高いとも言えます。量産品として流れていないということです。月産50台~100台を超えてくるとさすがに3Dプリンタでの生産は難しくなってくるので金型での生産(射出成型)を考えなくてはなりません。金型つくろう!という話になってきた試作品は試作品の壁を越えて量産品の入り口に立ったということになります。ただ、金型製作は大変お金がかかるため慎重に行う必要があります。3Dプリントで許されていた形状が金型では成型できないために許されないことがあり、設計上の制約がいくつか増えるのでそのあたりの話を弊社の新製品OM-GC/FVを例に解説したいと思います。

 

1.アンダーカットを無くす

アンダーカットと呼ばれる型が抜けない形状をなるべく無くすようにします。左図のオレンジ部分がアンダーカット形状となります。ここは電池が抜けるように側面に穴をあけていて電池をホールドするように作った形状ですが、別部品でカバーできるため金型製作を見据えて右図のようにアンダーカットを無くしています。これで引っ掛かりがなくなり上下に型が抜けるようになります。

2.均肉化

射出成型では型に樹脂が充填される際の流れを良くするため、なるべく製品の板厚を均一にする必要があります。3Dプリントではあまり気にする必要はありませんが金型を作る際は均肉になっていないことで成型時にヒケと呼ばれる表面がへこんだ状態になってしまうことがあります。そのため基本となる板厚を決めてその値からなるべく離れないように設計します。左図のオレンジ部分は基板の当て面としてとりあえず作ったリブ形状で板厚が4mmあります。この部品のベース板厚は2.5mmですので厚すぎると言えます。どこまで許されるかは分かりませんが3mm以下には抑えたい所です。修正したモデルではリブ形状ではなくM2タッピングネジ用のボス形状に変更してます。これは板厚を修正するという目的ともう一つは何かの変更があり基板のねじ止め位置を変更せざるを得ない事態になったときにより汎用性を持たせられるように2か所→4か所にボス形状を増やすという意味もあります。

 

3.ネジボスの深さ調整

今回の部品はネジ締結部分にタッピングネジを多用しておりネジボスを多く配置しています。スペースに余裕があれば下図のようにボスを内壁から独立させて配置するのが成型上理想的です。

しかし今回の部品ではスペース的にボスを内側に寄せることが難しいため内壁とくっついた状態で調整していきます。もう一つの制約がボス穴の深さです。目安としてはボス穴の5倍程度までの深さが許容されるという基準があります。例えばM3タッピングネジ用のボス穴は約2.5mmで設計するので2.5 × 5 = 12.5mmまでのネジ深さが許容されます。逆にいうとネジ深さは12.5mm以下に抑えなければいけないということになります。左図3Dプリンタのモデルでは四隅のM3ネジボスの深さを20mmとしていましたが金型用の右図では深さを12mmに変更しています。ネジボスを短くしたことで表側の形状を均肉化のためにえぐらざるを得なくなっています。

内部のボスに関しては内壁からは独立していて良かったのですが(左図)ボス穴深さが19mmもあったので修正が必要となりました。この部分についてはあえて内壁に近づけて深さを12mmにします。(右図)

しかしこのままでは根元部分(左図)が肉厚になってしまうので外側からミゾを入れて均肉化を図りました。

同様の理由で3Dプリント用のモデルでは無かったミゾがいくつか入り外観上大きな変更となっています。これを見た目が悪くなったと見るか、より製品っぽくなったと見るかは人に寄りますが成型上は必要な変更箇所となります。

4.抜き勾配

成型が終わった後、金型と製品を離すときになるべく離しやすくするために抜き勾配と呼ばれる角度を付けます。型の抜き方向と平行になる部分に0.5°~2°程度の勾配を付けます。構成上、大きな勾配が付けられないときは型屋さんと相談しながら勾配の具合を決めると良いでしょう。

 

※側面に穴形状がある面についてはスライド金型が来るので勾配を入れていない。

以上、大まかではありますが3Dプリンタ用のモデルから金型用のモデルに変更するときの注意点を書いてみました。できれば始めから量産を見据えて射出成型でも作れるような形でモデルリングすると良いでしょう。また、金型は一度作ってしまうと変更ができないのでなるべく汎用性を持たせた形状やある部分は共通の形状、ある部分はバージョン違いの金型を使うなどの設計ができることがあるので型屋さんと相談しながら設計していきましょう。

 

しかし一昔前の設計者は3Dプリンタ無しでいきなり金型を作っていたと考えるとすごいですよね。値段が高い上にやり直しがきかないという絶対に失敗できない状況で綿密に設計を行っていたという意味で真剣度合が今よりも高かったのではないかと推察します。3Dプリンタの登場で製造がカジュアルになったことは良いことですが量産用の失敗できない設計の真剣度合は忘れてはいけない姿勢だと思います。大きい会社だと何重ものデザインレヴューでそのあたりをカバーしているのだろうけれどスピード感に欠けるし、小さい会社だとスピード感はあるけど設計の詰めが甘くなりがち?になる傾向があると思いますので両方の良いところを取り入れつつ良い設計を心掛けたいものです。

 

自動運転と凧あげオバサン

先月10月の中旬から2週間ほどアメリカの西海岸に行っていました。今回は4年ぶりに開催されるMaker Faire Bay Areaでの展示と現地での新製品開発の仕込みを行ってきました。

いつも使っていたANAの成田-San Jose便がここ数年なくなっているようだったので今回は羽田-San Francisco便をとりました。10数万円と表示されていたのに支払う段になって燃油サーチャージが上乗せされ値段が倍近くになるのはちょっとやめてほしい。ここまで上がると何か邪な力が働いているのではと考えてしまいます。滞在中は基本的にエンジニアの友人(大先輩)がいるSan Joseを拠点にして、Maker Faire 期間は開催地である北ベイエリアのVallejoという町に3日ほど、最後の数日は親戚が住んでいるSan Franciscoにおじゃまするという旅程です。

無事にSan Francisco空港に到着し、久々に電車に乗りたいと思っていたこともあってSan Joseまでカルトレインで行くことにしました。空港から鉄道駅までのエレベータに乗りスーツケースを持ちながらエレベータの「開」ボタンを押して周りの人が先に降りるよう促していたら恰幅の良いおばさんが「あんたが先に降りな。スーツケースでずっこけたらまずいからね。」とギャハハと豪快に笑い飛ばし先に降ろしてくれました。鉄道駅で一つ不安だったのがチケットが買えるかどうかということ。10年前は紙の切符を買っていたのですが最近は紙が廃止になりスマホアプリか専用のカードになったらしい。自販機を見つめてみたのですがよくわからないしクレジットカードも認証してくれない。困った顔をして買い方を教えてくれと駅員に言ってみたのですが、「あっちの自販機で買えるよ。」で説明は終了。その買い方がわからないのだが…やる気のなさそうな駅員だったのであきらめて誰かに聞く作戦に変更。ちょうどカッコよいビジネスウーマンの方が買おうとしていたので、聞いてみると丁寧に教えてくれて専用カードを買うことができました。毎回旅の最初と最後でずっこけることが多いので一安心して電車に乗ることができました。

久々のカルトレイン

San Francisico空港からMillbrae駅まで行ってSan Jose行きの電車に乗り換えます。10年前初めて訪れたときは車窓からの眩しいばかりの晴天と乾いた空気、広々とした空間とのびのびとした人々から伝わってくる何か新しいものが生まれてくる空気感に興奮したものでしたが、今回はそこまでの高揚はなく(理由は見慣れてしまったか単純に自分が年を取ったから)ただ、また戻って来られたことを嬉しく思いこの空気感を味わえることにじわじわと嬉しさがこみ上げてきました。およそ1時間弱でSan Jose Diridon駅に到着。駅まで友人が迎えに来て下さっていて、そのまま滞在拠点に移動。その後数日は近況報告や今後の開発の話などをしつつ、私は注文数が増えてきたため金型を作らねばならない状況になった新製品の金型用3Dモデルの設計をしていました。ありがたいことに3Dプリンタがあるので距離が離れていてもデータのやり取りができるため、型屋さんが作った最終モデルをこちらで印刷して形状の確認や嵌め合いの確認などができました。3Dモデルから金型用のモデルにデザイン変更する話はまた別の記事で書きたいと思います。

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さて、週末はMaker Faireの開催地Mare Island方面に移動。一気に会場まで向かいます。

工業用の橋を渡りMare Islandに向かう

無事に会場に到着しササっとセットアップ。通算7回目くらいの出展なので慣れたものです。

展示内容は昨年のMaker Faire Orange Countyとほぼ同じリフローマシンとニワトリロボットです。ブース付近はこんな様子。近くにイベントのスポンサーであるMicrochip社がいました。

youtu.be

4年ぶりの開催となり場所も少し離れたこともあり来場者数がどうなるか気にしていましたが、僕らの心配をよそに展示会が始まるとじわじわとお客さんが増えてきました。

説明する筆者

毎回恒例のロボットを壊さんばかりに遊んでくれるキッズたち。

youtu.be

アメリカのMaker Faireならではの巨大展示物も健在。

ナウシカに出てくるやつ

屋外の会場も広く最高の雰囲気でした。

youtu.be

初日の展示会終了後には恒例の打ち上げパーティーがありました。

ビールとタコスで乾杯

展示の時から頻繁に声をかけてくれていた凧揚げチームのおじさんがいたので、声をかけたら色々とお話してくれました。オレゴンから来ていてリーダーのお姉さんと老夫婦の3人チームで出展しているとのこと。世界中の凧揚げ祭りに参加していて、日本の浜松の大会にも出たい!と意気込んでおられました。日本のTraditionalな凧はどんな作り?と聞かれたときは上手く答えられませんでしたが、みんなお正月に遊ぶよという話でごまかしました。リーダーのオニールさんは「SNSやウェブサイトの運営が大変なのよ」とおっしゃっていて、確かにしっかりとしたウェブサイトを作っておられました。

www.fortunafound.com

ウェブサイトの話でいうとイベントの開催地であるVallejoについて調べているときVallejo市のサイトを見つけました。これがまたシンプルでドドーンと町のきれいな写真とともにわかりやすくコンテンツが配置されていて、(実際はいなか町なのだけれども)嘘でもよいからカッコよくおしゃれにみんなが来たいと思わせるデザインに作り込んでいる姿勢が感じられて良いなと思いました。かっこいいロゴなんかも入っているし。市政の中にちゃんとデザイナーが入り込んでいるのでしょう。

Home - City of Vallejo, CA

郡山市の役人が作ったようなウェブサイトと比べてしまい日本はまだまだデザインの改善余地があるなあと思わされました。反面、アメリカはそれが行き過ぎているように見えることもあって(外見をよくしすぎて中身が伴わない的な)それはそれでどうなのでしょう。とにかく外見を整えないと土俵に上がれないような文化がある感じはしました。

話を凧揚げチームに戻して、リーダーのオニールさんはTEDにも出られていた方で熱く凧揚げ愛を語っておられました。「凧揚げは人生を変えるわよ」

www.youtube.com

彼女のようにまっすぐピュアに自分の好きなことを突き詰めている人があらゆる分野でいるのでしょう。Maker Faire の会場を見渡してもそれを感じることができます。ロボットでもゲームでも縫物でも凧揚げでも木工でも楽器作りや電子工作でもなんでも良いので、たとえビジネスにならなくもそれが好きでそれを通して人生を表現している人たちがいます。そんな人たちを周りのひとは変に思わないどころかリスペクトさえしているように見えます。このような人たちが遍在していて根っこにしっかり張り付いているからこそ、何かの拍子にそれが大きなビジネスにつながるのだと友人が教えてくれました。AppleしかりNvidiaしかり。はじめから狙って今の形のスマートフォンができるわけはないですよね。なんかゴソゴソやっているうちにいろんなものが溜まっていって気づいたらこれ作れる!ということになったのでしょう。まっすぐに楽しんでものづくりをしていこうと改めて思わされました。

さて、怒涛の3日間が終わり撤収後はもう一泊Vallejoに滞在して次の日はせっかく北カリフォルニアまで来たのでワインで有名なNapaまで足を伸ばすことにしました。

ダウンタウンをぶらつきつつ案内所で近くのワイナリーへの行き方を教えてもらいました。

youtu.be

ワイナリーの周りには大きな庭がありワインとおつまみを買ってくつろぐことができます。ゆったりとした時間がながれていました。北カリフォルニアを感じる良い旅となりました。その後数日、San Joseに滞在して最後の滞在先San Franciscoへ向かいました。

San Franciscoでは2日ほど滞在し、ぶらぶらと町を歩いたのですが最大のハイライトはタクシーに乗ったことです。

私へのサプライズということで用意してくれた無人タクシーだったのでした。はじめは少し怖かったですが10分もすると信頼しきっていました。加速減速がスムーズだし混雑をさけて車線変更してくれるし頭の良い車だなと感心しきりでした。最終日、空港までの有人UBERが怖く感じたほどです。ここまで行くのに相当トライアンドエラーを繰り返しているはずですが何か余裕でやっているようにも感じてしまいました。きっとこの技術も多数のまっすぐ突き進んでいる変人たちの集積の上に成り立っているのでしょう。そういう意味で日本も「自動運転」とか「AIでなんちゃら」とかいうゴールのようなものを目指して旗を振る前に凧あげオバサンと一緒に凧をあげることから始めてみてはどうでしょうか。

 

ご近所 D I Y

弊社に遊びに来る近所の美容室のお兄さんからちょっと相談を受けました。

洗髪台の水道管が錆びついて壊れてしまったという話は数か月前から聞いていたのですが、懇意にしていた水道屋さんが音信不通になってしまい、壊れたままずっとそのままになっているので何とかしたいとのことでした。

正常な水道管

3Dプリンタで何とかできるのではいかということになり試しに作ってみました。

なかなかうまく刷れたのですが少し内径が大きかったのでフライス刃で少しずつ削ります。

壊れた水道管にはめてみます。

ぴったりはまりました。排水口への部品も追加して、、、

つながりました。早速、水を流してみると印刷した部品とは関係ないところから水が漏れてきたのでシーリング材を塗っていきます。

洗髪台の排水溝の外側をべたべたと、、

漏れてきた部分にもべたべたと、、、

ついでに部品のつなぎ目にもべたべた塗って乾くのを待ちます。

明日には乾いているので水がきちんと流れるか試してみます。

 

<追記@2023/8/10>

シーリング材が乾いたので水を流してみました。

結果は、、、

 

 

漏れました。。

3Dプリンタ部材の充填が少なく樹脂の密度が少ない箇所からじんわり漏れてきます。

悔しいので全周シーリング材を塗りたくってその上から水道管用のテープを巻きました。

なにか現代アートを思わせる作品に仕上がりました。水漏れも収まったようなのでしばらく様子を見たいと思います。

 

3Dプリンタ 部分的な反りへの対応

最近調子の悪いUP BOX2号機。。。

刷っても刷っても右前部分が反って浮き上がってしまう。。。


ボードの高さを調整しても変わらない。

小さい部品を刷っても同じく右の方が浮き上がる。ということはボードのある位置での印刷台と射出口との高さの問題ではなく何か別の要因が考えられる。常に右の方ということは印刷物に接している何か、、、エクストルーダー側の問題のような気がしてきた。何かの記事で風が悪影響しているということを読んだことがあったのでFANの風を一旦止めてみることに。

射出口を冷やしているFAN

風量を調整する弁みたいなものもあったが、以前調整してみてあまり上手くいった記憶が無いので思い切って抜いてみることにした。

結果、大変すばらしく仕上がった。

反り無し!

反り無し品の方がラフト面に白い跡が残っているのでしっかりとラフトにくっついているように見える。

右が反り無し品

以前はラフト印刷時にカツカツとフィラメントが詰まる音がしていたがFANを抜いたらかなり音が静まった印象。詰まり音は印刷台と射出口との高さによるものだと思っていたのでなぜ風が影響しているのかは不明。とりあえずうまく擦れたのでストレスが激減して今日はハッピーです。

 

〈追記@2023/8/9〉

その後、10回ほどは安定的に印刷できていましたが、だんだんと反対の左側が浮くようになってきました。ステッピングモーターを専用に冷やしているもう一つのファンが悪さをしていると思い、風よけ部品を入れてみたりファン自体を切ってみたりしましたが改善はされませんでした。

ファンの下に風よけを追加

試しに在庫で持っていたエクストルーダーのユニットと交換してみたら上手く印刷できるようになったので現状はこの方法で行きたいと思います。3Dプリンタは安定して印刷できていると思いきや、不安定になることも多く常に調整作業が必要です。クセを見破ったと思ったら裏切られたり、、、なかなか一筋縄ではいかないヤツですが、、付き合いが長いのでこれからも仲良くやっていきたいです。

CSPI2023に出展しました

5/24~5/26の3日間、幕張メッセで開催された建設・測量生産性向上展に出展してきました。初出展ということでどれだけの方にご来場いただけるか不安もありましたが、結果的には大盛況で3日間の会期を終えることができました。

オーミック電子ブース

前日の5/23に会場入りしブースを設営しました。左手前にはブース付近を通過した人数を数える方向判別センサを配置。

カウンタ付き方向判別センサ

左側の机には実績のある標準ラインナップの超音波センサに加え、昨年新しく作った大型の50kHzタイプのセンサを置きました。

反対側の机には除雪車の後方検知用のセンサと高所作業車の挟まれ事故防止用のセンサを置いて実際にデモンストレーションしました。

警報機一体型の高所作業車用センサ

初日の午前中こそ客足が少なかったものの、それ以降は多くの方々に立ち寄って頂きセンサに触れて頂きました。2日目にはカメラ撮影が入り5分ほど製品の説明をしました。

お客さんを引き付けるために真ん中でプラレールを走らせていましたが、2日目からはその机を手前に引き出して机を3列平行に配置しました。一番上のブース写真ではコの字型のブースとなっていましたが、ある営業の方からアドバイスを頂き変更しました。その方曰く「コの字型だと入るのに勇気がいる、人は隠れる場所がほしいんだ」という名言を頂きました。確かに配置を変えたことでプラレールに引き付けられる人が増えて、よりブースにも入って頂き易くなりました。また、別のアドバイスとして「待っているだけではダメだ、自分から売り込みに行かなければだめ、3日間しかないんだから」、「しつこいやつと熱心なやつの違いが判りますか?しつこいやつは自分の利益だけ考えている、熱心なやつは相手がほしいものを考えている」という刺さるお言葉を頂きました。2日目はこの方と一緒にセンサを持って別ブースを歩き回り営業をかけました。普段、ものを作る仕事を主にやっているのでこういったお客さんの心理を読んだブースの見せ方や営業のかけ方などは意識していなかったので大変多くの学びを頂きました。

学生部隊の応援

学生メンバーも2日目から応援に駆けつけてきて大変助かりました。若いエネルギーが加わりブースが活性化しました。3日間を通じて様々な分野の方にご訪問頂きました。建設業、土木業、レンタル屋さん、高所作業車メーカー、鉄道関係、最終日には防衛省の方々も来られ引き合いを頂きました。今回、ターゲットにしていた高所作業車ユーザーと高所作業車メーカーの方々にも幅広くつながりができたので継続して取引ができるよう開発を進めていきたいと思います。一部の高所作業車メーカはすでに衝突防止用のセンサを付け始めていて関心させられました。

長野工業のセンサ付きバケット

どちらかというと最大手のメーカーよりも長野工業さんのような小規模のメーカーがいち早く新しいことに取り組んでいる印象を受けました。我々も負けないように新しい提案ができるよう引き続き頑張りたいと思います。