3Dプリント小技集② タッピングネジ VS インサートナット
製品の筐体を設計する場合、大きく分けて2つの部品を設計することになります。
一つ目がケースです。お弁当箱でいうところの箱です。箱の中にいろいろな具材を詰め込んだあと、そのままだと持ち運びしたときに具が溢れてしまいますので、蓋をする必要があります。この蓋が二つ目の部品で、カバーと呼ぶことが多いです。
ケースとカバーは何らかの方法で固定する必要があります。お弁当箱だとフックや
ゴムバンドなどで固定しますが、産業用の製品ではネジを使うことが多いです。
ネジによる固定には大きくわけて2種類あります。
一つ目はタッピングネジ(写真左)を用いた固定です。ふつうネジ(写真右)とくらべてネジ山の間隔が広いことがわかります。タッピングネジは受け側の材料にねじを食い込ませて固定するものです。この場合、受け側の材料は木や樹脂などになります。日曜大工で木材の固定に使われるモクネジや絵画を壁に掛けるときに壁にねじ込むねじなどはタッピングネジといえます。産業用でも成型した樹脂ケースをタッピングネジで固定することがあります。前職で設計を行っていた車載向けのインテリア製品などではタッピングネジを使っていました。
もう一つはふつうネジとナットを用いた固定方法です。板金の筐体や重量のある金属部品などを固定するときはネジとナットでがっちりと固定することが多いです。
それでは3Dプリント材料を使う場合はどちらの固定方法を使うでしょうか....
実はどちらの方法も使っています!今のところ、下記のように使い分けています。
「小型部品や主要部分外の固定にはタッピングネジ、大型部品やメインの固定部(ケースとカバーなど)にはふつうネジ×インサートナット」
インサートナットを樹脂ケースに埋め込むことで、ふつうネジとナットによる強固な
固定を行うことができます。なぜ主要部にタッピングネジを使わないかというと、タッピングネジの受け側である樹脂のねじボスが割れてしまうことがあるからです。金型を使った射出成型品ですと樹脂が100%近く充填されるのでねじボスにタッピングネジが食い込んでもしっかり受け止めてくれるのですが、3Dプリンタだとプリンタの種類にもよりますが、ねじボスが一部中空になってしまうことがあり割れの原因になります。
そこで、インサートナットを埋め込みます。
インサートナットをセットして、
トンカチでたたきます。
しっかりと入りました。
このような形で3Dプリント品をしっかりとネジで固定できます。タッピングネジよりもしっかりと固定したいという方はぜひ、参考にして頂ければと思います。
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