3Dプリント小技集 ①反り対策
3Dプリンターを使う方にとって初期設定の次に立ちはだかる問題のひとつが造形物の反りです。
産業用に一般的に使われるABS樹脂は収縮率が比較的高いので、10cm四方以上の大物を印刷するときによく反ることがあります。いろいろな対策があるようですが、私は以下の2つの方法でなんとか対応しています。
①射出口と印刷台とのスキマ確認
230℃くらいで溶けた樹脂が出てくる射出口(エクストルーダー)と印刷台とのあいだには僅かな隙間が必要です。この隙間が広すぎると樹脂がきれいに積み上がらないし、隙間が狭すぎると射出口から樹脂が出にくくなり、最悪の場合、樹脂が出口で固まってしまい修理が必要になります。
私の経験上、反りが起きやすいときは射出口と印刷台とのあいだが広くなっていることが多いです。「同じ3Dモデルで以前はきれいに印刷できたのになんで今回は反るんだーー」という場合はたいていこれが原因です。そんなときは付属のスキマ確認カードを隙間に差し入れてカードを動かします。
カードがスイスイ余裕で動くときは隙間が広いので、隙間を狭めます。逆にカードがぎちぎちに動かない場合は隙間が狭いので広い方向に調整します。ベストな隙間はカードがわずかな抵抗をもって動く状態です。動くのだけれどわずかに引っ張られている感じです。
②造形物の形状変更 (外径段差付け)
そもそも印刷された造形物が反る原因は樹脂の収縮です。射出口から出た樹脂が冷めていく過程で収縮するのですがそのときに前の層をわずかに引っ張り上げ、結果的に端の方からベロりとはがれていきます。
そこで端の方がはがされやすいのであれば初めに端だけしっかり印刷してから、中央部を印刷すればよいというアイデアが浮かびます。このような3Dモデルで外径部だけ数ミリ段差をつけています。
このようにすると初めに外径部だけが印刷されて中央部からの収縮の影響を受けないため、きれいに印刷できることが多いです。
反りが起きた時はぜひ試して頂ければと思います。