丸太小屋日記 ~オーミック電子の開発室から~

超音波センサーメーカー、オーミック電子の公式ブログです。

スピントロ二クスが世界を変える!?

今日は東北大学のOB会が主催している講演会に行ってきました。

お題目はズバリ「スピントロニクスが世界を変える」です。大学時代に磁性材料の研究室に所属していたこともあり、興味があったので顔を出してみました。

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大野教授

講師は東北大学総長の大野英男さん。この分野では有名な方で、将来のノーベル賞候補ともいわれているそうです。

話の内容としてはスピントロニクスとはどのようなものか、なぜ今注目されているのか、技術的な課題とブレークスルーについて、将来の展望などについてでした。

 

大まかにまとめると、現在の半導体集積回路で使用されている揮発性メモリ(電源を切ると記録がなくなるメモリ)をスピントロニクスの技術を用い、磁性を持たせたメモリにすることで不揮発性となり、電源を切ってもメモリの記録が失われなくなるということです。これにより必要のない時間帯はメモリの電源を切ってもよくなるので大幅な省エネルギーとなるそうです。

 

現在の超情報化社会、SNS社会、YOUTUBE社会を今の技術だけで支えようとすると電力的に過大な負荷がかかるようです。データセンターなどで使われる電力が半端ないそうです。数十年後は全世界の20%程度の電力が情報通信の分野だけで消費されてしまうという試算もあるようです。

 

将来の情報通信の基盤を支えうる技術だと思いますので、国をあげて支援をしていく必要があると思いました。技術的に量産が可能になったときに、日本としてはどういう立ち位置をとるのかも非常に興味深いです。かつての栄光の半導体全盛時代のように工場をつくって自社で量産するところまでやるのか、量産する方法・システムを切り売りしていくのか、GAFAなどの情報支配層と連携していくのか。。。

 

地味ではありますがこういったハード、材料系のしっかりとした技術を積み重ねてきたことは日本にとって大きな強みだと思いますので、産業的に発展してしっかりと利益をとれる体制にもっていってほしいと思います。

 

我々メーカーと違い世界を変えることを目標に実用化できるかどうかもわからない中、超長期スパンで研究や試作に取り組むかれら研究者のモチベーションは一体何なのだろうと思うことがあります。それが理解できなかったので私は大学院に行かなかったのですが。。。そんな疑問にちょっと答えてくれる大野さんのインタビューがありましたのでご興味あるかたはぜひ。

 

shinbun.fan-miyagi.jp

 

ひさびさに味わうアカデミックな雰囲気も良いものですな~