丸太小屋日記 ~オーミック電子の開発室から~

超音波センサーメーカー、オーミック電子の公式ブログです。

工業デザイナー 奥山清行さんのこと

今日は私の好きな工業デザイナーの奥山清行さんについて書いていきたいと思います。
 
初めて奥山さんを知ったのはNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見たことがきっかけでした。
 
当時はピニンファリーナのマネージャーをされていたと思うのですが、並み居る新進気鋭のカーデザイナーたちのスケッチをことごとく(破り捨てるかの如く)ダメ出しをされていて、最高のデザインを生み出すべくチームを統率していた姿に大きな衝撃を受けました。世界最高のデザイン会社でチームを率いているのが日本人ということにとても驚きました。私は当時まだ学生でしたが、将来は彼のように世界で活躍する人になりたいと思ったものでした。
 
時は経ち、自分がメカエンジニアとして働きはじめてから、何かのきっかけで奥山さんのことが気になり、彼のことを調べ著書なども読ませて貰いました。
 
彼のデザイン哲学であるSimple, Modern, Timeless というキーワードの中で、今までの自分の経験と照らし合わせて特に共感するのがSimpleです。一見、シンプルに見える形状でもそこにたどり着くには、機能を実現させるべく様々な経過をたどった結果であることが多いと思います。けっして初めからシンプルを標榜して設計しているのではなく機能性を追求していった結果のシンプルさということです。
 

その他にも「デザインは質より量だ!」「日本人は個人でこそ世界で活躍できる!」など彼の名言が詰まった書籍「人生を決めた15分 創造の1/10000」と「100年の価値をデザインする」は特におすすめです。

 
そんな奥山さんのデザインショップが山形にあるということで、一昨年に行ってきました。

f:id:Ohmic-Electronics:20190127172154j:plain

ken okuyama design shop
 
店内にはken okuyama designがプロデュースした山形の伝統工芸品である鉄瓶や段通、木工品が展示してありました。

f:id:Ohmic-Electronics:20190127172206j:plain

店内

f:id:Ohmic-Electronics:20190127172322j:plain

鉄瓶
伝統工芸の業界では有名だが、一般にはあまり知られていない質の良い製品を
紹介していくのがデザイン会社の仕事だと店員の方がおっしゃっていました。
 
製品それ自体も素晴らしいのですが、その鉄瓶を使うことで普段よりお茶の時間が豊かになったりヤンマーさん向けのスタイリッシュな農機具でいうと、その機械を見た子供が将来農業をやりたいと志し、業界イメージを変えうる力になるということに価値があるとのことでした。
 
モノを通して豊かな時間であったり夢を提供するというあたりがモノづくりの究極のゴールなのかもしれません。
 
最後にアートとデザインはどう違うのかということを奥山さんが語っている動画がこちらです。
”アートとは自分でお金を払って、自分の芸術を究めていくこと。自分を楽しませること。デザインとはお客様のお金を使ってお客様が欲しているものごと実現させていくこと。まずは目の前のお客さんが何を欲しがっているのかを理解することが重要だ。”