丸太小屋日記 ~オーミック電子の開発室から~

超音波センサーメーカー、オーミック電子の公式ブログです。

全ネジの切断と後処理について

アルミの全ネジがない!?

製品を軽くするため使用している部品の材料を変えることがあります。今回は80mmのステンレス製の全ネジをアルミ製にできないかと検討しました。あれこれ探してみましたがどうも長さ指定のアルミ全ネジが無いようでした。

 

唯一1000mmのアルミ全ネジがここから入手できそうだったので早速注文してみます。

neji-one.com

 

切断

部品が届いたので切断してみます。強力なニッパーで思い切りよく切ります。

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強力ニッパーで切断

切れました。このままだとバリが残っていてナットが入らないので後処理をしていきます。

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バリが残る

まずはグラインダーで少し先端を削ります。

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グラインダー

さらに先端部のネジ山の入り口がきれいになるようにやすりをかけます。

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やすりで削る

 

先端がきれいに仕上がりました。きれいにナットが入ってくれます。

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完成

 

 

ディスクリート部品の整理方法

整理整頓のお話

実験用の回路を組む際にいろいろな値の抵抗を使う機会が多く、以前購入した抵抗セットをあさりながら実験を進めています。この抵抗セットは数Ωから1MΩまでのディスクリートの抵抗が10本ずつ入っているもので、すべてまとめてビニール袋に入っていてほしい値の抵抗を探すのがいちいち大変でした。

 

なにかいい整理方法がないかとあれこれ探してみました。部品用の小さなプラスチックケースにしようかと思いましたが、かさばるのでもう少しスマートな収納方法はないものかと見ていたところ、、、ありました!

名刺入れファイルを使おう

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名刺入れファイル

1ページに10パック入るので抵抗値の小さい順に並べていきます。部品が小さいのでこのスペースに入るし何よりかさばらないので探す時もラクです。

 

忙しい時こそちょこっと手を休めて整理する時間も必要かなと思います。

 

 

方向判別センサー開発の経緯

今回はリニューアルした方向判別センサーOM-DR4Cについて書きたいと思います。

まずは製品のご紹介から。こちらが方向判別センサーOM-DR4Cです↓↓

www.youtube.com

このセンサーを使うことにより移動している物体の方向が判別できます。工場の出入り口などに設置して、出ていく車両のみ検知し周囲に注意喚起するなどの使い方がされます。

センサーの原理は非常に簡単で2つのセンサーをある間隔離し、それぞれのセンサーが物体を検知する時間差を利用して方向を判別しています。従来は2つのセンサーを別々に配置し、それぞれのセンサーから信号線を引いてきて専用のコントローラユニットに接続するという使い方がされており、非常に施工に時間がかかるという欠点がありました。

なんとか2つのセンサーとコントローラ部を一体で製作できないかとの思いから3年ほど前から本格的に開発を始めました。1年ほどで製品は完成し基本的な機能は実現したものの、まれに発生するロック現象(誤出力)などに悩まされ製品の品質を上げていくのに数年費やすことになるとはその時点では考えていませんでした。

距離調整ボリウムなどの操作部分を含む筐体全体の見直しを図り、今年の初めにリニューアルしましたので、今後とも方向判別センサーOM-DR4Cをよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

「お仏壇のはせがわ」に見るものづくり企業のあり方

先日、たまたま都内の「はせがわ」の実店舗に入る機会がありました。

「お仏壇のはせがわ~」のあのはせがわです。

 

店内はお香のいい匂いが立ち込めており、落ち着いた雰囲気でした。

仏具を扱っているので、保守的なイメージがあったのですが店内を見ていくと徐々にそのイメージが壊されていきました。

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リビングに違和感なく溶け込む仏壇

仏壇やお位牌といった昔からあるものは形を変えてはいけないものだと思っていたのですが、はせがわさんは現代のライフスタイルに合わせてデザインを刷新し、若い世代が祈りの場を取り入れやすくしているようです。

 

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ガラス付きの仏壇

手入れが楽になるようにガラス付きの仏壇や、香炉とりんが一体になったものなど細かい工夫でデザインが刷新されているものが多数展示されており、仏壇のイメージが根底から覆されました。すべての道具をそろえるのは大変で大掛かりになるという印象があったのですが、ある程度簡素化したものであったりリビングとの一体感をもたせたものなどを提案することで、今まで関心はあったけれども敷居が高くて手が出なかった層にも届けていくという姿勢が感じられました。この姿勢はものづくりをしていく上で私が大切にしたいと思っていることと同じです。モノを通じて、コトを豊かにしていくこと。はせがわさんの場合、仏壇を通して祈りの場を提供していく、取り入れやすくしていくということ。とくに先祖供養の意識が希薄になってきている日本だけに、彼らが提案していることの意義は大きいと感じています。

 

以前、ブログで紹介した奥山清行さんデザインのトラクターの場合は、スタイリッシュな農機具を通じて農業という業界イメージをクールなものに変えていくということ。

弊社の場合は超音波センサーを通じて、より安全なインフラ運用を支援していくということでしょうか。

今回、はせがわさんの店舗を訪れたことで、どの業界も変化していかなくてはならないのだということを再認識しました。もちろん伝統的なものはきちんと継承しつつ、時代にあわせてお客さんの要望に合わせて(合わせる前にこちらから提案か)、新しいものを作っていく必要があるのでしょう。

 

ASA樹脂という選択

現在、一般的な3Dプリンタの材料としてPLA(Poly-Lactic Acid)とABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)があります。
弊社では強度や耐熱性の点で主にABSを使用して試作品や量産品を製造しています。
PLAは大型の印刷物でも反りが少ないため、治具などを作るときに使っています。

高性能なABSですが弱点として耐候性があまり良好ではなく、紫外線に長時間晒されると強度が劣化します。そのため屋外で長時間放置される現場にはあまり向いていません。

板金カバーなどでABS製の筐体を太陽光から守るようにしていれば、大きな問題には
なりませんが、単体でABS樹脂を晒し続けると強度の劣化につながります。

そこでABSの耐候グレードとして登場するのがASA樹脂(Acrylate Styrene Acrylonitrile)です。

www.plastics-material.com


"ABS樹脂のB成分(ブタジエンゴム)の代わりに、弾性のあるアクリレートを用いた樹脂である。"とあるように基本特性はABS樹脂と似ていますが、ブタジエンゴムの成分を含まない分耐候性に優れているそうです。

弊社においても一部鉄道向けセンサーにこのASA樹脂を使っており、基本特性は理解していましたが試作用に3Dプリンターで使えるフィラメントが果たして存在するのか!!?ということで探索しておりました。(ちょうど屋外仕様での新製品制作の案件があったこともあり)


ありました!!!
こちらです。

idarts.co.jp

早速、新型ケースを刷ります。

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ASA製のセンサーケース



見た目と触った感じはABSとほぼ同じでしたが、板形状で硬さを比べると若干ASAの方が弾力がある感じでした。アクリルゴム成分が弾力を生み出しているのだと思います。

本格的に屋外で使用される製品を作る方にはぜひおすすめしたい材料です。

 

 

 

 

 

超音波の干渉問題あれこれ 〜取付現場から〜

昨日は弊社センサーの調整作業のため、関東エリアに出張しておりました。
使われているセンサーがこちらのOM8タイプです。耐候タイプの丈夫なセンサーです。
センサーの目的は車庫に入る列車を検知し、車庫内で作業をしている人に知らせるというものです。入庫車両のみを検知するため2つのセンサーを使い、片方が検知した後、もう片方が検知した場合のみ出力するという使い方をされています。逆の順序でセンサーが検知した場合は、出力しないため車両の方向判別ができるのです。
 
昨年、同じ現場で1レーンこのセンサーを取り付け、今回が2レーン目ということで取付状態を確認したところ、、、凍りついてしまいました。。。これはマズイ…

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やってはいけない取付
↑このような取り付け状態だったのです。
何が問題となりそうかお分かり頂けますでしょうか?
 
↓もしもこのような取り付けであれば問題ないです。

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位置をずらす
↓こちらも問題ないです。

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同じ方向に取り付け
 
そうです!現場で取り付いていたセンサーは、それぞれ真正面に隣のレーンの
センサーがお互い顔を見合わす方向に設置してあったのです。
このように設置してしまうと、検知物体がないにも関わらず、お互いの発振音を
返波として捉えてしまい、誤出力してしまうのです。
 
案の定電源を入れるとセンサーがかなりの頻度で誤出力していました。
解決方法は上図のようにそれぞれのセンサー群の位置をずらすか、お互い同じ
方向を向くようにする、あるいはそれぞれ異なった周波数のセンサーを使用することです。
 
今回はセンサー取り付け用のポールをすでに地中深く埋め込んでいたこともあり
センサー位置を変える方法が取れません。周波数の異なったセンサーも持ち合わせていなかったためこの方法も取れません。
 
しかし、ある方法を使ってそのままの位置で解決することができました。
 
ヒントは2つのセンサーの型式とこちらの記事を!
 
今回の件で改めて現場に行くことは大切だと思い知らされました。
また、事前に最悪のシナリオを想定して客先に確認作業をしておくことが重要
なのだと学びました。

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実際の取付現場



 
 
 

新型プリンターG3310を買いました

先月から事務所のプリンターの調子が良くなく、印刷を指示しても紙が流れていかず
困っておりました。長年使ってきた古い型式のものでしたので、期末ということもあり新しいプリンターに買い替えることにしました。


注文したのはキャノンのG3310です。

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CANON G3310


選んだポイントはズバリ2つ!
①大容量のインクタンク
wifi仕様(USBケーブルでパソコンと接続しなくて良い)


①については今までのプリンターが割と早くインク切れするのにインク自体がかなり高価であるという不満がありました。これは皆さんご経験あるのではないでしょうか。ハードウェア(プリンター)自体は安く売って材料(インク)で儲けるという方式だとは思うのですが、あまりに経済性がなく顧客からの不満が多くメーカー側が改善せざる終えなくなったのだろうと思います。


②については今まで有線式のプリンターを共有していたため印刷ごとにUSBケーブルを抜き差ししなければならず、少々不便でした。


このプリンターにしてからは非常に快適に使用できています。

おそらくインクの買い替えサイクルも伸びることでしょう。コピー、印刷はもちろんスキャンもできますので、これ一台でひと通りの印刷関係の仕事ができます。これから買おうと思っている方には是非おすすめしたいです。